ドキッ!?アンデッドだらけの地下迷宮(ポロリもあるよ!)

『モリアと言ったら元ネタが判るので言いません』

システムについて

ソードワールド2.0はグループSNEが自社の看板システムをリメイクしたRPGで、出て日が浅いということもあり、R研で比較的頻繁に立つシステムの一つだ。今回は5人中4人が持ち込みで、一人だけキャラメという状況だったので集合等がやや変則的になったが、全員が経験者という事もあり導入自体はそれほど手間取ることも無かった。また、高レベルセッションということで、冒険者レベル4のキャラクターを想定したシナリオだった。内訳は、人間2,エルフ1,リルドラケン1,ルーンフォーク1だった。ドワーフの遺跡のシナリオと言ったのにドワーフがいないのは、まあ、持ち込みありのセッションなのだから仕方ない。

依頼〜国がおびえる地中の恐ろしいモノ

レベル4冒険者。これはひとかどの人物である(らしい)。勇んで冒険に出てみたものの食費を欠いて狼の肉さえ喰ったり、地下迷宮で魔物退治と聞いて行ってみたら下水道でネズミ退治をやらされたり(そしてネズミに苦戦したり)した初期作成段階とは違う。ということで今回のスポンサーはいつもの酒場の親父では無く、ビッグに国からの依頼だった。

レーヴァテイン王国(中二臭くて申し訳ない)の大臣から受けた依頼は、隣国のグラム王国(中二臭くて略)との間のレノス山脈に存在する、魔動機文明時代のドワーフ王国の遺跡を調査すること。なんでも、大破局の頃に蛮族の猛攻を受けた上、地中から恐ろしいモノを掘り当ててしまい滅んだというこの遺跡は、レノス山脈の地下を貫いていると言う。雪と険しい山道のため冬の間通行ができなくなるレノス山脈の代わりに、この遺跡を交易路にしようというプロジェクトらしい。そのための先遣隊としての役割を依頼されたのだ。

契約、そして侵入〜よく訓練されたPL達

本好きという設定のエルフ(ソーサラー,セージ)に報酬として城の書庫の閲覧権を要求されたりして大臣さんが戸惑ったりしたが、ともかく契約成立。前金その他を受け取ると一路山脈に向かった。この途中、そろそろ日が暮れて来たと言って野宿をさせ、冒険者たちがキャンプを張った処で登場させたのがキプロクス。恐竜の様な外見のレベル4モンスターである。知名度判定に成功し、名前を聞いた瞬間、一部のPLに緊張が走った。実はこのモンスター、過去の私のセッションで登場させ、PC達を相当に苦戦させたなかなかエグイモンスターなのである。しかしそこは流石レベル4冒険者。部位持ちの巨大モンスターを、ブラントウェポンで早々に弱体化させると、速攻で落としてしまった。それは当に、瞬殺といってもいい光景だった。GMは、「どうだね諸君?君たちにとって最早、この程度のモンスターなど雑魚に過ぎないのだよ」と透かしたことを言っていたが、そこそこ骨のある戦いになると思っていた敵を軽く倒され、内心ちょっとびくびくであった。

ともかく夜明けとともに遺跡内に侵入したPC達は、薄明りの中(ヌルめのGMは、暗視能力を持たないPCにいちいち松明を持たせたりするのが面倒だったため、魔動機文明時代の照明がまだ生きているという設定を押し通した)に大量の骸を発見する。勿論よく訓練されたPL達は警戒するが、この段階では何もできないのでそのまま通り過ぎる。すると、古戦場の情景の中を進むPCの周囲で、骸が起き上がり襲いかかって来た。アンデッドとの戦闘である。ここで出したのはグールとワイト。どちらも腐敗した死体のアンデッドである。如何して数百年前の死体が骨になっていないのかなど聞いてはいけない。誰も洞窟内の湿度と腐敗速度の関係についての蘊蓄など聞きたくないだろう?ならば受け入れるのが一番だ。と言う訳で戦闘に入ると、まあ、予定通り大した苦戦もせずにPC達はアンデッドを粉砕していった。弾ける臓物。零れる腐液。GM的にも、描写が楽しくなって来たところで戦闘終了。大してダメージを受けなかったPC達は先を急いだ。

挟撃〜二つめの黒星

続いてPC達の目の前に現れたのは細く長い橋である。あからさまに怪しげな場所に、隊列を組み直すPC達。当然の如く、最後尾に前衛タイプを配置し、橋を渡り始める。その橋の途中、前方から敵が現れた。またもやアンデッドである。戦端を開いたところで、予想通り後方からもアンデッド登場。先ほど倒したグールだった。挟撃が成立しそれなりに苦戦させることができるかと思ったが、最後尾についたPCが一人でグールを足止めしている間に、前方の戦いが片付いてしまいまたもや完敗。まことに相手に取って不足の無い強力なPL達である。

探索〜無念の最適解

橋を抜けたPC達は、三叉路にぶち当たる。左から、普通程度の舗装、豪華な舗装、そして造りかけの道である。この三叉路は、右、左、真中の順に行ってくれるとGM的に一番都合がよかったのだが、PL達は見事にその通りに進んでくれた。随分とGMの心が読めるPLである。と言う訳でまず右に行ったPC達は、やたら邪悪な雰囲気を漂わせた巨大な穴に行く手を阻まれる。興味津津、穴を覗き込んだPC達に襲いかかったのは異形の獣、アザービースト。魔神という種族に属するこのモンスターを撃退したPC達は、これがドワーフが掘り起こしてしまった『恐ろしいモノ』かと納得顔。甘いよ君たち。この程度のモンスターが一国を滅ぼせるはず無いじゃないか。ついでに採掘途中の壁面から、ミスリルの原石を手に入れたPC達は、もうここには用が無いとばかりに去って行った。

続いて先ほどの三叉路を左に行くと、水没した部屋に出た。もともと水路が通っていた部屋だったのが、水位が上がったため水没してしまったようだ。PC達が周囲をうかがうと、どうやら水路の端にある鉄柵に大量の腐乱死体が引っ掛かっているため、水の流れが阻害されているようだ。そして、水没した壁面にある意味ありげなレバー。水中で行動可能なエルフが率先して水の中へ。レバーを引こうとするが、筋力判定に失敗して引けない。あわてず騒がずPCは、レバーにロープを結びつけ岸へ。筋力に溢れたPCがロープを受け取ると、マッソーを隆起させ見事にレバーを下ろす。すると、ガガガと音をたてて鉄柵が上がり、腐乱死体達は流れて行った。腐汁を溢れさせながら。

下流住民の健康に気遣いつつ先を急いだPC達は、激しく傷ついた大広間に出る。そこには、これまでにない量の死体が転がっていた。警戒しつつ進むPC達の目の前で、死体の山が動き出し、そしてその下から奇怪な巨人が現れた。怪物の名はヴァルプレバース。巨大な左腕と、無数の細い右腕を持つ魔神で、強大な再生力を誇る。腕を破壊しても次のターンにはHP半分で再生するという恐るべき特性を誇りPC達を大いに苦しめる……はずだったのだが、PC達、両腕には目もくれずひたすら胴体を攻撃し始める。胴体自体には回復力はないため、がりがりと削れるHP。しかもここがコア部位なため、破壊されれば、即、終了である。あわてて両腕で攻撃を繰り出し注意を引こうとするが、PC達はまるで無視して胴体に集中攻撃。実はこれが最適戦略だったため、ものの数ターンでかなりの強敵として配置してあったこのモンスターは倒されてしまった。無念である。

封印〜急がば回れ、そして手応え

この大広間の先には巨大な門があったのだが、どうやら封印が施されている様子。鍵穴には意味ありげなハンマーの紋章。GMからのメッセージを理解したPC達は、三叉路に戻り、残る真中の道を進む。この時点でPC達はかなり終盤と見ていたようだが、実はいまだ中盤。微妙に疲れた雰囲気になってきたPLに内心GMは冷や汗を流していた。
道の先に更に上下への階段を見つけたPCは、まず上への道を選ぶ。その先には洞窟内に備え付けられた扉と、それを守るように佇むドワーフのゾンビ。扉に近づくと武器を構えるなど、微妙に知性を見せるゾンビに、ちょっと興味を覚えるPC達。だが、「でも結局倒すだけだよねー」と戦闘突入。ドワーフゾンビ君達も結構頑張ったがやられて戦闘終了。意気揚々と扉を開けようとする冒険者たち。しかし、無情にも鍵の音。鍵穴には、今度はツルハシの紋章。またこのパターンか、と空気が重くなりかけるも気を取り直したPC達は先ほどの下り階段へ向かう。途中鎧を着こんでやたら硬いアンデッドを粉砕したりしながら(白骨!白骨!白骨!)進むと、祭壇のある部屋。その中心には、蛮族と思しき大量の死体と、炎武帝グレンダールの紋章をつけた魔動機械。いやな予感を覚えるPC達の前で、数百年の眠りから魔動機械が覚醒。侵入者とみなしたPC達に問答無用で襲いかかって来た(だってドワーフがいないのだもの)。このガーディアンの名はドゥーム。レベル5の癖に(思うに、ルールブックTのモンスターの強さはUVに比べてレベルに即していないようだ)やたら高性能な強敵である。前衛が殺到してきたところで自分を中心した範囲攻撃を繰り出し、一気に3PCに攻撃……と思ったらなぜか回避ロールをしているのは二人だけ。何と前衛の内一人は、回復役に回って遠距離に控えていたのである。つくづく運のいいPC達に、心中で怨嗟の声を上げながらも、古代パワーで暴れ回りなかなか健闘。なかなか手応えのある戦闘が出来た。

戦闘機械を破壊したPC達は室内を探索。祭壇の下に隠し通路を見つける。内部へ這入ると、奥には書物の様な物を抱えた白骨死体と、その前方に散らばる焼け焦げた白骨。あからさまに罠の気配がするが、本に反応したエルフが後先考えずに突っ込み罠発動。床から炎が噴き上がりエルフは火傷を負う羽目に。それでも根性で死体を調べたエルフは、この遺跡に住んで居たドワーフたちの年代記と、ツルハシの鍵を入手した。シナリオ上キーアイテムである鍵よりも、フレーバーアイテムの年代記の方を喜んでいる様に見えたのは気のせいだろうか?

解錠〜PCに欠けるサービス精神?

ともかく先ほどの扉に戻ったパーティーは鍵を開けてその向こうに。そこからは螺旋状のスロープが始まっていたのだが、壁が妙に傷んでいた。何というかこう、デカくて丸くて重い物がぶつかったかの様に。罠の臭いを感じたPC達は、スカウトを先行させる。「まあ、そこそこHPあるし潰されても死なないよねー」の声援尽きで。薄情千万である。まあ、期待たがわず(?)スカウトは罠を発見し、冒険者たちは慎重にそれを避けながらスロープを上って行く。その頂点の壁には、デカくて丸くて重そうな岩がセッティングされていたが、PC達は華麗にスルー。どれだけ経験を積んでもトラップに引っかかるサービス精神旺盛なインディを見習ってほしいものである。

GM渾身のネタ……罠を回避したPC達の目の前に現れたのは、巨大な扉。またこのパターンかとげんなりした(非常に申し訳ない)PC達だったが、どっこいこいつには鍵がかかっていなかった。その事を教えると勇んだパーティーは、中の様子を確かめようともせず突入。その先に在った光景は……笑いさざめくドワーフゾンビの群だった。

衝撃、そして決戦〜シュール

まるで、遥か昔の王国時代の如く、絢爛豪華な大広間で談笑するドワーフ達。しかしその顔は崩れ、体からは腐臭が漂い豪奢な衣装からは内臓が零れ落ちる(臓物!臓物!臓物!)。吐き気がするような光景に、思わず言葉を失うPC達に気付いたのか、ゾンビ達の会話が鎮まり、広間の奥から声がかけられる。
「なんじゃ貴様らは。誰の許しを得て妾の国に立ち入りおった」
威厳に溢れながらもどこか甲高いその声は、一段高くなった玉座から響いていた。レーヴァテイン王国の玉座より遥かに立派なその王座に座っていたのは、片目を眼帯に覆った、ドワーフの、女性だった(醗酵中)。
ロリっ子ドワーフゾンビの衝撃になにも言えないPC達。厭な感じの沈黙を破ったのは、ポロリと言う音。女王様が席を立った拍子に、目玉が眼窩から転がり落ちて仕舞ったのだ。妾の目が〜とコンタクトを落とした人のように床を探す女王様。周囲に群がって目玉を拾おうとする廷臣(ゾンビ)達。
漸く拾った目玉をズボッと嵌め直す女王様と云うアレ過ぎる光景に逆に混乱から覚めたPC達は、必死に交渉に当たる。てっきり不法侵入のかどで打首獄門かと思ったら、普通に許して貰えた。女王様は心が広いのである。と思って胸を撫で下ろしたら、どうも嵌りが悪いのか、又もや転げ落ちる女王様の目玉。ころころとPC達の方へ。人間の槍使いが思わず拾おうとして踏み出した瞬間、なんと目玉を踏みつぶしてしまった。静まり返る大広間。凍りつくドワーフゾンビ達。一人状況も判らず目玉を探す女王様。すわ袋叩きか、と思ったら次の瞬間、女王様へ群がるドワーフゾンビ。「陛下!陛下のおめめは潰れてしまいました。どうぞ私の目をお使い下さい!」「いえ私のを」「私の瞳の方が美しいですぞ!」次々己の目玉を抉り出して女王様に差し出す廷臣たち。飛び交う眼球。迸る眼漿。シュールである。
騒ぎが収まった処でようやく本題。どうやらこの方々、攻め寄せる蛮族たちに対抗するため、死んでは蘇生死んでは蘇生を繰り返すうちにゾンビになってしまったという。しかも大昔に掘り起こしてしまった『恐ろしいもの』の事が心残りで未だ成仏できないらしい。この地下宮殿の奥に封じられているというそれを、倒してくれれば通行でもなんでも好きにしてくれて構わないという。ついでに自分たちが成仏すれば蛮族のゾンビもいなくなるし。断る理由もないPC達は、依頼を受けることにする。というか、あらゆる意味でこのドワーフ達と戦いたくなかったようである。
依頼を受けたPC達を、女王様は温泉で歓待してくれる。といっても勿論地獄の釜の事では無い。ちゃんとヴァンニクを読んでまっとうな温泉を出してくれた。翌朝、傷も癒え出発するPC達を見送るドワーフ達。歩き出したPC達の後ろで、深々と頭を下げる気配、そして、ボトボトボトという何かが落ちる音がした。然し、PC達が振り返ることはなかった……(チッ、つまらん)
そうして辿り付いたのははるか前にぶち当たったハンマーの鍵が付いた扉。今回はちゃんと女王様に鍵を渡されている。封印を解いていざ中へ。
部屋の中心、石盤に磔にされるように封じられていたのは、立派な剣を持った角と尻尾のある魔神。PC達の気配に気づいたのか、うっすらと目をあける。
「ほう……数百年ぶりの人族どもだ。わざわざ我を解放してくれるとは。褒美に殺してやろう」
石盤にひびが入り、魔神が咆哮を上げる。戦闘開始である。
この魔物、魔神に属するグルネルという7レベルモンスターである。胴体と尻尾の二つの部位を持つこと、魔神であることから、先ほどのヴァルプレバースと同系統と考えたPC達は「尻尾きっても生えてきそうだな。よし、胴体に集中しよう」と言いだし集中攻撃。前衛の一人が尻尾に絡め取られて締め付けられても無視。ひたすら胴体へ。ぬぐぅ、でも、防護点もそこそこあるからあっさりやられたりは…と思っていたらソーサラーの魔法が乱れ飛び、防護点を抜けて直撃が来る。それでも高い攻撃力でPC達を苦しめたが、胴体のHPが付きてあっさり終了。尻尾は無傷。なんだかなぁ。
魔神の死体をあさると、魔力を感じる剣を手に入れる。なんと魔神は魔剣を持っていたのだ。思わぬ収穫に喜ぶPC達がその部屋を抜けると、そこは外界だった。ついに山脈を抜けたのだった。星の光すら眩しく感じるPC達。その背後に、突然大勢の気配。振り返ると、そこには女王様はじめ、ドワーフゾンビの方々がいらっしゃった。PC達にねぎらいの言葉をかけてくれる女王様。それに応えるPC。一通りやり取りがすみ、PC達が出発しようとした瞬間、朝日が山肌を照らした。ドワーフゾンビ達は、灰となって散って行った。(ごめん、正直タイミング間違えたと思っています)
唖然としたPC達は、灰の山の中から王冠を拾うと、グラムの街へ。そこで英雄として歓待され、吟遊詩人たちが彼らの歌を作りその偉業を永劫語り継ぐことが約束された。そして、PC達には、ポロリが多い女王様の記憶と、ドワーフ達の年代記、そして、当分消えそうにない悪臭が残された。

余談。せっかく手に入れた魔剣だったが、前衛がグラップラーと槍使いしかいなかったので、結局砕いて剣の欠片にして名誉点に。GMちょっと悲しい。


※編注:あ、日付狂った。すみません。
なお、各トピック名は編集者が勝手に付けたものです。

(2月18日/初期)
inserted by FC2 system