レポート No.02

グールの館

作者 みゃー
ゲームシステム名 ファンタジー全般
シナリオ傾向 ダンジョン&ホラー
プレイ難易度

はじめに

このシナリオソースは、グールが存在し、なおかつグールに殺されたものが新しいグールになって 蘇るという設定がある世界ならどんなシステムにも使えるソースです。

舞台

メインの街道からやや外れたところにある、少々さびれた町の郊外にある貴族や大商人の 屋敷、あるいは別荘が物語の舞台となります。 出来るだけ、普段人が寄り付かないところにある方がいいでしょう。

導入

プレイヤーキャラクター(以下PC)たちは、舞台となる館を訪れることになります。 理由はなんでも構いませんが、以下に例を挙げて見ましょう。


1.館の主人の知り合いから、手紙を届けることを頼まれる。
2.館の主人の息子を、館までの道中護衛するように頼まれる。
3.旅の途中で偶然通りかかる。雨が降っていたり、夜遅かったりするので泊めてもらうことになる。

館にPC達がたどり着いたときは、なんとなく不気味な雰囲気が現れるように、演出してみましょう。 夜ならあまり細工する必要はありませんが、昼間ならいつのまにか雨雲が太陽を覆い隠してしまって、 灰色の曇り空であるとか、いつのまにか霧が出て視界が悪くなっているなど、です。 このシナリオソースは、基本的にホラー調のものを志向しています。 よって、こういった細かい演出で雰囲気を出すことにこだわってみましょう。

館を訪れ、玄関で人を呼ぶと、召使いが現れます。彼は、快くPC達を歓迎してくれます。 ここで、視認などの判定をPC達に要求しても構いません。 成功すると、召使いの顔色がひどく悪いことに気付くことができます。 彼は、PC達を館の中に招きいれようとします。そして、主人はもう寝てしまったとか、 ちょっと外出しているなど理由をつけて、今晩は泊まっていくように勧められます。 そして、出来るだけPC達が分散するように客室をあてがわれます。

館の中は不気味に静まり返っていて、人気がありません。 最初に玄関で現れた以外の人物に会う可能性は非常に低いものとなります。 しばらくすると、PCのあてがわれた客室に召使いがやってきます。 彼の話によると、どうやら館の主人がそのPC個人と話をしたいというのです。 彼は、できるだけPCを一人ずつ連れ出そうとします。また、他のPCに気付かれないように動きます。

そのPCがのこのこと連れ出されてしまった場合、個室に通されます。 しかし、そこには誰もいません。召使いに話しかけようとすると、彼は牙をむいて、 襲い掛かってきます!

展開

さて、ここからはPC達は自由に行動することができます。 館の中にはこの館の主人と、何人かの使用人たちがいますが、彼らはみなグールとなっていて、 PC達、そしてもしいるとすればその同行者達を餌食にしようと襲い掛かってきます。 ですが、ただ次から次に襲い掛かってきたのでは面白くないので、できるだけ不意打ちとか、 人間のふりをしてだまし討ちなど、いろいろな遭遇方法を考えて見ましょう。

さて、このシナリオソースはダンジョン物を志向していたわけですが、このままだったら、 館から逃げ出したらそれで終わりになってしまいます。よって、このシナリオの「目的」となるべきものを、 あらかじめ用意しておきましょう。 もっとも分かりやすいのは、PC達の同行者のNPCの行方が分からなくなるので、館の中を探すことになる、 というものです。この場合、あっさりグールにNPCが食べられてしまったのではそれが分かった時点で、 シナリオの目的が無くなってしまうので、NPCは主人のディナーとして、生きたまま監禁されている、 ということにするといいのではないでしょうか。 この館が非常に出入りが難しい場所にあって、その鍵を主人がもっていることにしてもいいでしょう。 例えば、館が断崖で囲まれていて、唯一の出入り口である跳ね橋の鍵が無いと外に出られない、などです。

最終的には、おそらくこの事件の黒幕である主人と対決することになるでしょう。 館を探索する過程で、事件の経緯もおずおずと分かってくるはずです。

背景

このシナリオの舞台となる館の主人は、不治の病により伏せっておりました。 多大な財力を持つ彼はどうしても生き延びたいと願っていたのですが、医者はおろか魔法使いにまで、 さじを投げられてしまいました。彼の病はますます悪化する一方。そんな彼に、あるアイデアが浮かびました。 おそらく、どこぞで手に入れたうさんくさい魔道書や、あやしげな呪い師から得た知識が元になっているのでしょう。 彼は、「人間の生き胆を食い続ければいずれ助かる」という妄想にとりつかれます。 彼は、持ち前の莫大な財産をもってして、何人も奴隷を買い漁っては、殺して食べていました。 しかし、そんなことで病の進行が食い止められるはずもなく、とうとう彼は死亡します。

さて、堕落した彼の魂が魔物に魅入られたのか、邪悪な魔法使いが黄泉返りの呪文を使ったのか、 それは定かではありません。しかし、埋葬された彼はグールとして復活を遂げ、館に戻ってきたのです。 館に戻った彼は、使用人たちを皆殺しにし、彼らの生き胆をむさぼりました。 そして、使用人たちは新たなグールとなり、この館はグールの館となったのです。

※もうお気づきのことかと思いますが、別にグールでなくてもヴァンパイアでも同じシナリオが使えるわけです。 しかし、多くのファンタジーRPGでヴァンパイアは非常に強力なモンスターであることが多く、 なかなか出しづらいため、グールで作ってみました。 他にも難点があって、このシナリオでは「できたてのグールは人間とあまり見分けが付かない」 という前提条件があることです。さすがに腐りかけた死体みたいなやつが出てきたら、いきなり戦闘突入でしょうし。 そんなわけで、そのゲーム独特の設定などをよく知っていて、 色々深読みするプレイヤーには不評かもしれません。ご了承を。

(2004年12月3日/みゃー)
inserted by FC2 system