TRPG概説

R.P.G及びロール・プレイング・ゲームはバンダイの登録商標です。
    ──株式会社バンダイ


 0.始めに

 我が北大R研では、テーブルトークRPG(以下TRPG)を定期的に行い、その技術の向上を目指す事を活動の中心に据えています。
 

 1.TRPGとは?

 TRPGとは、多人数参加型のテーブルコミュニケーションゲームです。雰囲気としてはボードゲームが近いでしょうか。何人かで集まって、ゲームマスターひとりと数人のプレイヤーに分かれてゲーム開始です。
 ゲームマスターは舞台を用意し、様々な状況を他のプレイヤーに伝える、コンピューターRPGで言う所のコンピューター的な役割を果たします。プレイヤーはそれぞれ、ゲーム内で動き回る、冒険者達です。ゲームマスターが用意した世界の中で、プレイヤーが何かを行えば、それに対してゲームマスターは適時、色々な判断を加え、その結果をプレイヤーに返します。
 これは人対人であるからこそ出来る柔軟な遊び方であって、コンピューターではかなり難しいでしょう。TRPGはそういった不思議な魅力を含んだゲームであると言えます。

 ただ、多人数(三人から六人ぐらいが普通、ゲームの種類によって増減有り)の参加者を必要とするゲームである上に、その面白さや内容を一言で説明するのが非常に難しいという事もあり、コンピューターRPGに比べて殆ど知られていないのが実状といえます。ですから、この場を借りて不思議な魅力を持つTRPGについて、少々解説させて頂こうかと思います。
 

 2.TRPG、その魅力

 RPGとはロールプレイングゲームの略で、直訳すれば役割を演じるゲームという意味になります。TRPGは実際のRPGの意味により近く、多人数の人間とコミュニケーションを取りつつ、定められた役割を演じるという会話形式のゲームです。
 端的に言えば、皆さんも昔やった事があるあのごっこ遊びの一種です。ただ、ごっこ遊びと違うのはルールがあって、それに行動が規定されているという事です。

 子供のごっこ遊びであれば、お互いがわがままを言い合えば、ケンカして終わりです。これではゲームとして全く面白くありません。そこで、ルールを設定し、それに沿ってゲームを行うことで、皆が同じ基準で動く事が出来、また作戦を立てたりするなどの知的な面白さも生まれます。
 特に、ファンタジーやSFのような異世界的な設定の元でゲームを行なうことが多いので、その世界観や行動を規定するルールは非常に重要になってきます。ただ、一口に言っても分かり難いと思いますので、少しTRPGを実際にやっている様子を交えつつ、解説していってみましょう。

 例えばゲーム上で背後から盗賊が襲い掛かってきた場合。

 もし、テレビゲームであればそのまま戦闘画面に突入という事になるでしょう。場合によっては、きつい先制攻撃を食らうかもしれません。たいていデザイナーの思惑通りにゲームは進みます。
 これがもしTRPGであればどうでしょうか。実際にTRPGをやっている様子から見てみましょう。舞台は中世風の都市という事にします。

【ゲームマスター】[以下GM、ゲームにおけるコンピュータ的な役割をする、イベントの発生、行動の処理から、現在の時刻、温度の設定まであらゆる決定権を持ちます]:君らが街の奥に進んでいくと、どんどん周囲の雰囲気が変わっていくよ。そうだね、中心の広場から離れれば、離れるほど、建物は古く、汚くなっていくよ。通りを歩いている人の目付きも、街の広場とは大きく違う。言葉にはしにくいけど、なんかギスギスしてるね。
【プレイヤーA】:どうやら、スラム地区に入っていくみたいだな。とりあえず、進むよ。
【プレイヤーB】:ううっ、怖い。Aの後ろに隠れながら歩きます。僕は育ちがいいので。
【プレイヤーC】:えーっとね、まわりとか、きょろきょろしながら進むの。なんか落ちてるかも。
【GM】:(…いじましい奴め)周りには、打ち捨てられた荷車やら、腐った桶らしきものが転がっているだけで、特に目を引くものは無いよ。そうだね、進めば進むほど、道は細くなって、入り組んでいるよ。立ち並んだ今にも倒れそうな家々の間からは、さらに奥へ、奥へ向かって路地が続いている。あ、それと、周りの人間の視線が君達に注がれているよ。わりと、こぎれいな格好してるからね。とくにC、その胸元のペンダントは良く目立つね。こんな所で、そんな高価なモノを身につけている人なんていないからね。
【プレイヤーC】:え、そうなの。なんか、うれしいな。貴族の令嬢にでもなったキブン。じゃ、見せびらかすように道をジグザクに歩くね。
【プレイヤー:えっ、スラム街なのに…

【GM】:(そうか、仕方ないな。スラムで金品を見せびらかして歩くか…)じゃ、Cがジグザグと歩いてると、斜め後ろの路地から飛び出してきた男がいきなり君に殴り掛かるよ。前を歩いてる、A,Bはすぐに助けには入れない。じゃ、後ろからの不意打ちなんで、その分のダメージは防げないね。[言いつつ、サイコロを振る。基本的にダメージの大きさなどランダムに表わされる数はサイコロを使います。おなじ後ろからの攻撃でも、後頭部にあたるか、腕に当るかでダメージも違ってくるわけです]
【プレイヤーC】:うそ、気絶しちゃった。しくしく(泣)[ダメージが大きな場合は気絶、或いは死ぬ事もあります]
【GM】:ええと、A,B。君達の前にも、ガラの悪そうな男が二人よって来る。どうやら、後ろから出てきた男とグルの様だね。目で合図しあってる。
【ガラの悪い男】:へっ、へっ、兄ちゃんたち、なかなかいいもの持ってんな。おじさん達にちょっと貸してくれないか。[さっき出てきたゴロツキです。これもGMが演じます]
【プレイヤーA】:ちっ、どうやらまずい事になりそうだ。GM、刀の柄に手を掛けておくよ。

 さあ、大変な事になってしまいました。ペンダントを見せびらかさなければ、ゴロツキに狙われることは無かったでしょう。たとえ、狙われたとしても、もっと警戒していればこんな事にはならなかったでは。体力の無さそうなCをカバーする様に、A,Bが歩いていれば、少なくとも一撃で気絶させられるという事態は防げたかも知れません。

 こういった風に、基本的にGMとの会話によって、状況を掴み、ゲームを進めていきます。当然、A,B,Cの間でも会話は成立します。スラムで金品を見せびらかすという、いわゆるボケに出たCに対して、AやBがそれを阻止するというツッコミがあっても良いわけです。そうすれば、少しはGMの反応も違っていたかもしれません。この様にゲームに参加しているプレイヤー同士でどんどん話を繋げて、自由に遊ぶ所にRPGの一つの面白さがあるわけです。

 しかも、この柔軟さはプレイヤー同士に限った事ではありません。ストーリーを用意して、プレイヤーに遊ばせるGMもまた、臨機応変にストーリーを、設定を自由にいじったって構いません。その場で敵の幹部に殺されるはずだった少女を、さらうだけにして、プレイヤーに探させたっていいのです。まあ、その場合はプレイヤー達がその少女をすくう動機[お金で依頼する、少女がプレイヤーの生き別れの妹だった等]が必要ですが。さっきのスラムの話でも、プレイヤーがスラムに入らずに別の所へ行く事を選択する事もできるのです。その場合は別のイベントをGMが急いで用意しなければなりませんが。

 しかし、ただ自由だからといって何をやっても良いというわけではありません。現在沢山の種類のRPGが出回っていますが、それぞれに独自の世界観があり、それを再現するためのルールがあります。基本的にそのルールに乗っ取った上で自由に動き回る事になります。例えば、緻密なSFを再現したRPGなら、宇宙空間に出るのには酸素ボンベが必要で、3時間だけ動き回る事ができるとか、一度に五十キロ以上装備は着けられない等、緻密なSFのためのルールが存在します。これがもし、アメリカンヒーローのRPGなら十トンの岩石を持ち上げるのに判定は必要ないでしょう。地球だって、逆回転させる事ができるかもしれません。当然、宇宙空間で酸素ボンベなんて必要ありません。こういった様々な世界観をリアルに表現したルールにもとづいてゲームを行うからこそ、面白味が増すわけです。
 

 3.RPGの原点

 それでは、RPGは何処から始まったのでしょうか。いまでは、様々な種類が出ているRPGですが、もともとはD&Dという、シミュレーションゲームの流れを組んだシンプルなシステムがすべての始まりでした。仲間を集め、隊列を組み、洞窟を探検するという単純なものですが、そこには今では薄れつつあるゲーム性が前面に押し出されていました。暗闇の中、洞窟を奥へ、奥へと進んで行くわけですから、松明で照らされた部分以外は全く見えません。方眼紙に歩いた道を丹念にメモしながら、一歩ずつ進みます。先に罠は無いか、落とし穴はどうかと、十フィートの棒で歩く先々を叩きながら進みます。宝箱が目の前に見えても、すぐに開けるわけには行きません。周りを調べ、罠が無い事を確かめて始めて開ける事が出来るのです。ただ、ここでも油断していると蓋を開けると中からモンスターが出現、そしてさようならという事もあります。死にやすい魔法使いは後ろへさがり、戦士が宝箱を開け、同時に戦闘態勢をとる、しばらくして中を良く見ると、古びた兜が入っていて一安心。そんな感じで、いかに生き残るかが競われた時代もありました。

 現在でも、多くのRPGにこのD&Dから受け継がれた、自由な発想に基づいたシミュレーション性が存在します。一つの棒が使用者の工夫によって、武器にもなれば、歩く先々の危険を確認する杖とも成りうるのです。松明だって辺りを照らすだけではなく、投げつける事で立派な武器にも成ります。ひよっとして、別の状況ではもっと様々な応用がきくかもしれません。そんな、ありとあらゆる創意工夫がRPGにはあるのです。そして、それがRPGのゲームとしての面白さの一つになっている事は確かです。
 

 4.役割を演じる

 それでは、RPGのもう一つの面白さである、演じるということについて考えてみましょう。本来、RPGとはロールプレイングゲーム、役割(role)演じる(playing)という原義を持つわけですが、これはただ、演技をするという事ではありません。ロールプレイとは、言い換えれば人物そのものを演じるという事であります。

 通常、RPGは自らの分身と呼ぶべき人物(以後キャラクター)を最初に作り、それを操ってゲームを進めます。そのキャラクター作る段階で、どういった職業か、性別か、年齢かと細かな設定、つまりは立場を決めていくわけです。ゲームによっては種族や、信教まで決定しなければならないものあり、これによってキャラクターの背景が形作られていきます。

 例えば、四十歳 男 傭兵 というキャラクターであればやけに渋味がかった中年の歴戦の勇士を思い浮かべることでしょう。口数が少なく、吐く言葉には含蓄があります。少々危険そうに思える任務でも、彼にとっては朝飯前でしょう。そんなイメージを元に、渋くキャラクターを演じるわけです。人によって違った傭兵像を持っている人もいるかもしれません。その人は自分なりの傭兵を演じれば良いわけです。正解なんてものは初めから存在しません。そうしてゲームを続ければ、続けるほど、キャラクターが掴むことが出来、キャラの事が自分の事の様に感じられる瞬間さえあります。その時の喜びはなにものにも代え難いものです。

 RPGの面白さの一つの骨である演じるという事(ロールプレイ)ですが、もともと初期には本当に簡単な形でしか存在しませんでした。D&Dでは、それぞれの職業と(善、悪、中立)といった簡単な3つの性格の組み合わせによってのみでしか、その立場が表現されていませんでした。しかし、当時TRPGの概念すら希薄だった頃には衝撃的なものでした。そんな簡単な取っ掛かりの中から、それぞれが手探りでキャラクターを演じるのです。そういった暗中模索から始まった、RPGのロールプレイも次第に発展を遂げていきます。

 思想や宗教といったその世界の常識的な設定がゲームに現れるようになると、それが、それぞれのキャラのロールプレイに次第に影響を与えて行くようになりました。例えば、それぞれのキャラが信仰している宗教が対立しているならば、そのまま争いになっても可笑しくありませんし、もし何らかの組織に属していればその組織なりの考えに染まるでしょう。別種族であれば、どんなに引かれ合っていても性的に結ばれる事はないでしょうし、ひょっとすると文化的な差違から殺し合いに成るかもしれませんし、言語が違うので意思疎通も難しそうです。そんな今まで一度も感じた事の無い価値観の元に世界を生きるという事が出来る、奥の深いものへとRPGは変化を遂げていきました。
 

 5.最後に

 いままで、色々と書いてきましたがどうだったでしょうか。今一つピンと来なかった方もいらっしゃると思いますが、それは不思議な事でも何でもないと思います。考えても見て下さい。TRPGとはいえ本質はゲームなのです。ゲームであるからには実際やってみなければ、その面白さは実感出来ないでしょう。無責任な様ですが、説明よりも先に体験してもらうべきなのです。

 しかし、それだけでは身も蓋も無いので、少し解説をさせて頂きました。当ホームページも合わせてご覧頂ければ、少しは知らない方々にも分かっていただけるのではないでしょうか。特にリプレイ(生のTRPGをテープ等に録音して文字に起こしたもの)なんかを参考にしていただければ、実際の雰囲気等も掴んで頂けると思います。

 ただ、小難しい事を言っても、楽しくてなんぼの遊びですから、TRPGは。普段の自分とは少しさよならして、ゲームの世界を、人物を遊ぶ、その感覚は素晴らしいものです。「やって損は無し」と断言致しましょう。


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