レポート No.18

クトゥルフの呼び声

  
製作: サンディ・ピーターセン&リン・ウィリス
出版社: HOBBY JAPAN
ジャンル: ホラー



<はじめに>
 皆さんはクトゥルフ神話というものをご存知でしょうか。アメリカの小説家、ハワァド・P・ラヴクラフトという人が中心となって創りあげた緩やかな体系、それがクトゥルフ神話です。その特徴は、コズミックホラー、宇宙的恐怖と呼ばれる少々風変わりな世界観であって、それを踏襲しあるいは無視して、長きにわたりホラー・ミステリ創作の素材として親しまれてきました。
 「クトゥルフの呼び声」は、人に優しくないそんな世界を舞台としてホラーな物語を楽しむTRPGです。

<世界観>
 舞台となるのは、主に我々の住むこの世界です。少なくとも、皆さんのキャラクターはそう信じています。皆さんは、他人より多少好奇心は旺盛かもしれませんが、ほとんど一般人です。偶々、皆さんの前には、いかなる事情でか、不思議な何かがあります。
 ところで、皆さんのキャラクターには知らない事がたくさんあります。というより、人類のほとんど全てが知らない事がたくさんあります。例えば遥か深海に潜む何かについて、砂漠の地下に広がる異種族の都市について、原初の生命の生まれたよりも昔に栄えた文明について、宇宙を統べる異形・白痴の神々について。それらは皆さんの手に負えないものです。人類の手に負えないものです。知れば正気ではいられないものです。もちろん、そんな事は知らない皆さんのキャラクターは、残された僅かな手がかりを頼りに謎を手繰り、秘密を解き明かそうとするのですが。このゲームの目的は、あなたの前に転がっている謎を解き明かし、且つ、生きて(かなうことなら正気で!)帰ることです。

<正気度>
 このゲームを特徴付けるものは、やはり、SAN、正気度という能力値とそれに深く関わる正気度ポイントの存在でしょう。キャラクターが恐怖に陥っていることをデータ的に処理するこのルールによって、ホラーらしさを簡単に演出する事ができます。
 正気度はPOW、精神力の5倍として算出されます。精神力は意志の強さ、とでも思ってください。正気度ポイントは正気度と同じ値が与えられ、シナリオ中に回復する事はまずありません。あなたがシナリオ中で何か尋常でないものを見た場合、正気度を元に判定を行い、状況に応じて正気度ポイントを減らします。当然、判定に成功すれば正気度ポイントの減り方は小さくなります。意志の強い人ほど正気を保ちやすいわけですね。
 正気度ポイントを失った場合、皆さんのキャラクターは狂気に陥る事があります。まず、正気度を一度に5点以上失った場合。数分から数時間程度で回復する「一時的狂気」になります。強いショックを受けた皆さんのキャラクターの心は、何か他人には理解できない方法で自らを守ろうとします。
 シナリオ中に正気度を20%以上失った場合、皆さんのキャラクターは「不定の狂気」に陥ります。しばらくの間、皆さんのキャラクターは何もできませんし、回復したとしても以前と全く同じ彼らではありません。彼らの中で、何かが決定的に違ってしまったのです。
 そして正気度ポイントをすべて失った場合。皆さんのキャラクターは俳人になります。

<終わりに>
 改めて言いますが、「クトゥルフの呼び声」はホラーシステムです。プレイの際は、恐ろしげな敵に殴りかからないように。大抵皆さんのキャラクターより強いです。彼らを倒す事はあなた方の目的ではありません。それを忘れなければ、運がよければ生き残れるでしょう。ああ、運が悪かったときのために、狂気に陥ったときの台詞と行動を今のうちに考えておくのはいいアイデアですよ。

←BACK
 
inserted by FC2 system