レポート No.1

Double Cross 2ndEditon

  
製作: 矢野俊策
出版社: F.E.A.R.
ジャンル: 現代超能力もの



<概要>

 現代とほとんど同じ世界。しかし、その世界では、人知れず戦う者たちがいた。その名はオーヴァード。人には扱うことができない、超能力を持つ者たちだ。彼らは日々、日常を脅かす敵と戦っている。自分達がいる日常の平和を、そして、その中で生きている大切な人を護るために。
 Double Cross 2ndEdition。あなたは自分の絆を護りとおせるのか。


 Double Cross 2ndEditionはオーヴァードという、キャラクターを演じてさまざまな事件を通し、そのキャラクターの成長やドラマを描いていくゲームです。
 

<オーヴァードについて>

 オーヴァードというのは平たく言うと超能力者です。その超常能力はレネゲイドウィルスによってもたらされ、これによって、普通の人とは違う力を手に入れることになります。その人が望む望まないにかかわらずです。そして、人には決して持ち得ない力は、恐れられることもあるでしょう。
 しかし、彼らはその力を使い、人やオーヴァードに危害を加え暴れるジャームと呼ばれる、本当の化け物たちと戦っているのです。何も知らない人間たちが住む日常が壊れないために。
 そして、このレネゲイドウィルスというものは、日々オーヴァードの精神を蝕んでいきます。そして、ウィルスに負けてしまうと、自我を失い、自分の欲望やウィルスの衝動のままに行動するようになってしまいます。ウィルスによって暴走してしまったオーヴァードがジャームなのです。
 さらに、このオーヴァードが持つ力というのはレネゲイドウィルスによるものなので、超能力を使うことによって、ウィルスは活性化されます。そのため、ジャームと戦うことによって、自分もジャームに近づいていくというジレンマもあります。
 オーヴァードは人とジャームの狭間で生きているのです。


 

<ジャームについて>

 ジャームというのは、上のとおりオーヴァードが暴走したものですが、実はレネゲイドウィルスによってオーヴァードとなったとき、ウィルスの影響によって、そのままジャームになってしまうことも多いです。どちらにしても、レネゲイドウィルスに負けてしまった者と言えるでしょう。
 さて、オーヴァードがジャームになってしまうのは理由はどのようなものがあるでしょうか?それは、戦いの中で力を使いすぎてウィルスに浸食される、肉親や恋人を失い絶望する、もしくは、力を使ってお金や地位などを手に入れる欲望に負ける、もしくは超能力の魅力や強さというものに溺れるなど様々でしょう。
 しかし、これらに共通しているものがあります。それは、自分が他と結んでいる絆というものがなくなってしまい、オーヴァードとしての力を使うことに躊躇いが無いということです。
 

<ロイスについて>

 ロイスというのは人と人、もしくは人と何かを結ぶ絆です。このロイスによってオーヴァードは自分を失わないで戦うことができます。そして、自分が日常の中にいて、人の中で生きているということが実感できるのです。
 しかし、絆というものは切れてしまうこともあります。それは、裏切られたとき、逆に裏切ったとき、また、その人との関係が変わってしまったとき、そして、相手が死んでしまったとき。そうして、切れてしまったロイスをタイタスと呼びます。このタイタスを乗り越えた時、オーヴァードはとても強い力を発揮することができます。それによって、強大な敵を打ち破ることができるのです。
 

<システムの欠点>

 欠点と呼べるかどうかは分かりませんが、このゲームのアーキタイプはアニメやゲームのキャラクターをあまりに意識しすぎています(むしろそのまんまという話も)。アーキタイプを使う場合、その「元ネタ」を知っている人と知らない人との間で、かなりの差が開きます。良くも悪くもネタを知っている内輪向けのゲームと言えると思います。このゲームのマスターはゲーム開始前にどのようなゲームをプレイヤーが望んでいるのかを知っておいたほうが良いでしょう(アニメとかのネタ全開でいくとか)。
 それと、システムでシナリオ作りをサポートしているため、アドリブがききにくいというのも欠点かもしれません。ある程度は「壊力」で修正可能ですが、PCが(元ネタなどの影響で)悪乗りをはじめると収拾がつきません。むしろそれを見越してシナリオを作るべきなのかもしれませんが……。柔軟なシナリオ作りは難しいでしょう。
 

<Double Cross について私が考えること>

 Double Crossというゲームはオーヴァードをやるゲームです。ではオーヴァードというのはどういう者なのでしょうか?レネゲイドウィルスに発症したものの中には、望まずにオーヴァードとなってしまった者もいると思われます。そして、その中にはウィルスに負けてジャームとなってしまい、日常を脅かす存在になってしまうのでしょう。
 では、オーヴァードとして生きることができるのはどういう者なのでしょうか?それは、人として生きたい者、人の中で生きたい者、もしくは日常の中に大事なものがある者だろう。そのつながりを、このゲームではロイスという絆で表しています。そして、絆が変化して関係が変わりそれを受け入れて前に進むこと、それは、人として成長することではないのでしょうか。それは、言い換えれば、ロイスがタイタスとなりそれを乗り越えることです。これはオーヴァードが人として成長することも表しているのです。
 そう、このゲームはキャラクターがオーヴァードとしても、人としても成長することを描くゲームなのでだと思います。
 

<まとめ>

 DXというゲームは上のようにオーヴァードをプレイして、その中で様々な事件や変化を通して成長することを表現できるゲームです。オーヴァードには様々な悩みがあるでしょう。でも、その中で人として生きたいというのがオーヴァードです。そして、人を護るために、人に知られずに、人外の力を使って戦うのがオーヴァードなのです。
 日常を護るために、非日常の中で戦うことがDX2ndのテーマなのです。
 


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