レポート No.12

エムブリオマシンRPG

  
製作: 秋口ぎぐる/グループSNE
出版社: ジャイブ
ジャンル: ロボットバトル



<はじめに>
 エムブリオマシンは『エムブリオマシン(以下EM)』と呼ばれる巨大ロボットでの戦闘を主眼においた本格ロボットバトルRPGです。PC(プレイヤーキャラクター)はEMを駆る傭兵となり、戦乱の世で成り上がることを目的としています。
 RP(ロールプレイ)よりも戦闘に重点が置かれていることが特徴です。むしろロボット戦闘をするためだけのシステムとも言えるでしょう。TRPGよりもウォーゲーム、シュミレーションゲームに近い感じですね。

<世界観>
 舞台は『ヴェルム』と呼ばれる中世ヨーロッパ風の架空世界。架空世界と言っても、魔法や魔物は存在しません。その代わり、この世界には遺跡から発掘される戦略兵器EMが存在します。戦乱状態であるヴェルムで、数機のEMを所有する傭兵団は報奨金や領地の獲得を目指して転戦を繰り返しています。

<エムブリオマシン>
 遺跡から発見される汎用兵器と思われる機械です。数100年前まで栄えていた高度文明の遺産であり、現在の技術では使われている材質すら解明できません。高度な武装と堅牢な装甲を誇り、従来の武器や兵器では手も足も出ない地上最強の存在です。
 しかしこのEM、ただの便利な兵器ではなく、様々な問題を抱える欠陥兵器です。EMを起動するためには2つのものが必要となり、その1つが動かすために必要な起動メタル。そしてもう1つがカルディア鉱石と呼ばれる非常に高価な鉱石です。このどちらか片方でも欠ければEMを動かすことはできません。また、EMで戦闘を行うと10分程度で機能停止、再び動かすには1時間ほど待たなければなりません。この制約があるため、最強兵器であっても不用意に扱うことはできないのです。
 端的に説明すれば、強力無比な過去の欠陥兵器といったところでしょうか。

<戦闘>
 戦闘は勿論EM同士のロボットバトルです。EMはサイズと重量によって15種類に大分でき、この種類毎にHP、移動力、回避力、武装搭載数が決定します。武装には白兵、射撃武器、補助武装を含め150を超える武装があり、自分の思い描くロボットを作ることができます。バトルフィールドには12×15のマップを用い、相手との距離によって移動、白兵、射撃などの行動を使い分けます。 僕はZOIDSが好きなのですが、好きなZOIDSを思い描き、その武装、大きさ、機動性などをEMとして再現することなんかもできます。勿論他のロボットでも問題ありませんし、再現ではなく自分で創作EMを作るのも楽しいです。
 肝心の戦闘システムですが、各プレイヤーが自分の行う行動を、他者にはわからないように予め紙に書く『プロッティング』というルールが採用されています。そのため、『エムブリオマシン』での戦闘では他のシステムと異なり、「相手の行動に応じて自分の行動を考える」のではなく、「相手の行動を推測して自分の行動を考える」戦略性が求められます。また、『プロッティング』内容は仲間に伝えることができません。そのため、敵だけではなく仲間の行動までも推測する必要があります。この敵味方双方の「読み合い」こそが、このシステムの戦闘での醍醐味です。
 「近くに敵がいるから近づいて白兵戦をしよう」、「いや、相手もそれを知っているから遠距離攻撃だな」、「もしかすると相手のほうから接近してくるかもしれない」、「ならカウンターもありだな」、「見方が敵に対処してくれるかも」、「危険だ、一旦距離をとろう」、考え方は人それぞれ場合によりけり。それがこの戦闘のみそであり魅力です。まぁ、文章だけだとわかりにくい面もあると思うので、実際にやってみるのもいいですね。戦闘だけを取り出してシュミレーションゲームとしても遊べるので。

<まとめ>
 あまりに戦闘に重点が置かれているため(戦闘:RP=8:2程度)TRPGらしからぬシステムですが、それを補って余りあるロボット戦闘の楽しさ、奥深さがあります。一度この戦闘に触れれば、きっとその虜となるでしょう。楽しい戦闘をしてみたい、ロボットものが好きだ、ぼくのかんがえた最強のロボットを作りたいという方には是非お勧めしたいですね。かくいう私もその1人です。

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