レポート No.3
ナイトウィザード The 2ndEdition
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製作: |
菊池たけし |
出版社: |
F.E.A.R. |
ジャンル: |
現代ファンタジー |
<はじめに 〜たてまえ〜>
このレヴューは、現代ファンタジー風RPG、ナイトウィザード The 2ndEdition(以下、今作)の事について書き記すものである。このシステムでPCたちは、世界を征服しようと企む侵略者から世界を護るために、魔法使いたちとなって戦うのである。
これから、このシステムの詳細や、自分の感想を述べさせていただこうと思う。
<ワールドガイド 〜前作から今作へ〜>
世界は狙われている!
このシステムのうたい文句はこれである。
舞台は現代によく似た世界”ファー・ジ・アース”。
そこでは、世界を侵略しようともくろむ"エミュレイター"と呼ばれる敵と、"ウィザード"と呼ばれる魔法使いたちが日々戦っているそんなシステム……だった。
これは、旧版までの話である。時代は2ndへと移り変わり、状況は変化した。
現在は謎の敵”冥魔”と呼ばれる第三勢力が台等してきており、ファー・ジ・アースを『破壊』しようと目論んでいる。これは侵略に来ているエミュレイター、そして護っているウィザード、両陣営共通の敵ということを示している。
ちなみに今作は、2ndと書かれているように、ナイトウィザード(以下前作)の続編である。
時代は変わりつつある。かつては敵同士だったエミュレイター陣営とウィザード陣営が協力して戦う、そんな事も起こりうる時代になりつつあるのだ。
ウィザードやエミュレイター等についての詳しい情報については、様々なサイトで情報が手に入ると思われるため、割愛させていただく。もし詳しく知りたい場合は、是非近作を買ってみてほしい。
こんな舞台設定になった理由には、お隣の世界、”ラース=フェリア”が冥魔に侵略され、その余波というのが主な理由だ。しかし、デザイナーの意図やリプレイの結果など様々な要因があるので、詳しくは割愛させていただく。知りたい方は、セブン=フォートレスリプレイ『ラ・アルメイアの幻砦V3』を参考にしていただきたい。
<システム 〜あれ、見覚えが……〜>
さて、ここからはシステムのデータ面の話に入ってみよう。
まずは判定面。2d6+基本能力値及び戦闘能力(これは基本能力値及び装備から算出される)の、おおよそ2種類の判定のみと、意外にもシンプルである。一部の判定には修正が入るが、この辺りは前作とほとんど変わりは無い。
次にデータ面。特殊能力、アイテムのデータ共に、前作よりもバランスの取り方が簡単になっている印象を受ける。『抑える所を抑えた』バランスになっているようだ。今作になって、『魔装』と呼ばれる、MP元値が減る代わりに、発動時に魔力消耗の必要ない装備が追加された。魔術師には嬉しい装備だ。
次に成長面について。キャラクターは、ウィザードクラスとスタイルクラスという2種類のクラスを持ち、それぞれにLV(CL)が存在する。そして、シナリオ毎にどちらかのクラスのLVを一つ上昇させることができる。
なお、二つのクラスのLVを合計したものが総合LV(GL)という。
クラス別にレベルアップするというのは、割合近頃(2008年現在)のシステムに多いといえよう。特に、F.E.A.Rのシステムでは。
<全体を通して 〜個人的感想〜>
個人的主観において、全体の感想をメリット、デメリットの2点に分けて書き記そうと思う。
まずメリットとしての部分である。
一つ目にあげるなら、前作を知っている人間が、時代の移り変わりを楽しめる、ということだろうか。この手の二作目三作目の作品においては、こういう事を楽しめるのも魅力の一つだと思う。
二つ目に、先ほども述べたが、前作よりもバランスが取りやすくなったことだろうか。
前作では、初期作成のキャラクターは、『即死しやすい』『MPが全然足りない』などの欠点があったが、今作ではその辺りに修正が加えられ、初期作成のキャラクターでも簡単に遊べるようになっている。
最後に、2008年に発売した、セブン=フォートレス・メビウスとの完全互換性がある事があげられる。前作では、互換のための作業が複雑だったため、今作ではその点を修正したものと思われる。
次にデメリットにいこう。
まず、分厚いということが挙げられる。厚みがあるという事は、初心者には大きな障害となる。厚いというだけで読む意欲を無くす事が確認されている。ルールの多寡にかかわらず、厚いという事は、それだけで障害になるのだそうだ。
現に、このシステムの判定ルールはそれほど難しいものではないはずだ。そしてセブンフォートレス・メビウスとの完全な互換性もある(もっとも、これは共通規格なのだが……)。精々前作からのコンバートで一部、苦戦する程度だと思われる。が……初心者の方には、この『厚さ』が敵になるのだそうだ。
第二点。逆に、そこそこ遊んだ事のある人間から見てみればどうなのかという意見だ。これについては、何か面白みが少ないような気がするという回答になる。非常に個人的な感想ではあるのだが、何かこう『ちょっと死にやすいアリアンロッド』をやっている気分になる。これはアリアンロッドが悪い、とかそういう事ではなくて、なんだか他のゲームをやっている気分になってしまうのだ。
<最後に 〜このシステムを遊ぶかもしれない貴方へ〜>
このシステムは、正直、自分もまだ手を出しあぐねているシステムである。
しかし、このシステムによく適合する人ならば、これのいい所を存分に引き出してくれることだろうと私は信じている。
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