レポート No.13

三国志演技

  
製作: たのあきら&F.E.A.R
出版社: 光栄
ジャンル: 中国歴史系



<はじめに>

三国志演技は、今から1800年くらい昔の中国を舞台にしたRPGです。この時代は一言で言うと乱世、あまたの英雄豪傑が流れ星のように尾を引いては消えていった時代です。プレイヤーはそんな英雄のひとり、あるいは商人や間諜となって時には豪快に敵をふっ飛ばし、時には緻密な策略をめぐらせて活躍してもらいます。
このゲームの特徴は、誰でも簡単にさまざまな活躍が楽しめるという点でしょう。打ち合いを表した豪快で爽快な戦闘のほかに、専門職に応じた特技カードによってさまざまな行動をとることができます。切れ者の軍師をやりたくても中の人の頭がゆるいから……といってあきらめることはありません。詳しくは後述します。
昔のゲームなので全体に大雑把で、TRPGって難しそう……という方にもひとまず物語を作る楽しさを味わってもらえると思います。

<世界観>

1800年前の中国は、皆さんご存知の三国志の世界です。後漢が権力を失い、群雄が覇を争う乱世を舞台としています。
このゲームは三国志が好きな方はもちろんですが、三国志をよく知らない方でも十分に楽しめます。実際この文を書いております渡辺の三国志関連知識はそのへんの歴女(笑)とさして変わりません。三国志占いをやってみたら司馬炎でした。誰それ無双に出てこない、です。
このゲームでは一応有名な武将・智将のパラメータが設定されていますが、彼らはさすがに飛びぬけた能力を有しており、おいそれと作りたてのキャラクターと絡ませるわけにはいきません。いきなり関羽と戦うのは一般人には無理です。というわけで、三国志に描かれる人物をよく知らなければちんぷんかんぷんというシナリオが組まれることは、特に初めての方が入る卓ではまずありません。三国志を知っているから有利というものでもありません。
難しいことは考えなくても大丈夫、事前の知識もそんなにいらない、というわけですので、初心者も安心して挑戦してほしいゲームのひとつであります。

<登場人物の種類>

このゲームで扱うことのできる登場人物のパターンを以下に記します。

武器を持ち、肉弾戦闘を得意とする花形の職業です。このゲームでは戦闘は一騎打ちを表しており、ゲージの押しあいで鍔迫り合いのような緊迫感ある戦闘を楽しめます。基本的に武人でなければ戦闘に参加することはできません。
兵法に通じ、さまざまな計略を操る職業です。このゲームでは事前に自分の扱える計略をいくつか決めておき、状況に応じて役立ちそうな策を提示するのが役目となります。中の人が先を読めなくても、いざ困った状況になったときに「こんなこともあろうかと……」と策を後出しすることができるので安心です。
敵の陣地に忍び込み、情報収集や撹乱などをする職業です。ルール上はほぼ文人と同じように、事前に使える特技を決めておき、状況に応じて行動していくのが役目です。
商売をする人です。ゲームの中では人脈を駆使して仲間の役に立ちます。
女性キャラクターは女傑としてしか活躍することができません。ルール上は武人と似たようなものですが、よりかっこいい特技が多く用意されています。

実にレトロゲーらしいですね。シナリオ次第ではありますが、これで意外とどの職業にも見せ場は作れるものです。

<まとめ>
このゲームの楽しいところはやはり戦闘でしょう。とくに三国志をよく知らない、中国の歴史や古典に詳しくなくてどんなキャラクターをやったらいいかわからない、というかたにはとりあえず武人で鍔迫り合いしてみることをお勧めします。単純で緊迫感があって面白いのです。
もうひとつ楽しいところは、めったにない中国歴史系TRPGであるということです。中国っぽいのが好きな方には文句なくお勧めです。現代ものや西洋風ファンタジーに飽きた、もしくは最初から趣味じゃない、というかたに、こんなTRPGもあるんだという驚きが提供できたなら、そしてやってみたいと思っていただけたなら、拙稿の意義もあったというものです。

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