レポート No.9

トーキョーN◎VA The Detonation

  
製作: 鈴吹太郎/FEAR
出版社: エンターブレイン
ジャンル: 近未来サイバーアクション



<はじめに>

 トーキョーN◎VAは『トーキョーN◎VA』という近未来の大都市を舞台とした、所謂サイバーパンクなシステムです。Detonationはその4版です。
 スタイル(他のシステムでいうクラスのようなもの)を組み合わせて多様なキャラクターを作ることができ、また「格好良い演出をするためのシステム」があったりすることが特徴的です。近未来な雰囲気を楽しみたい人からマニアックな知識を持つ人まで楽しめる、そんなシステムです。

<世界観>
 平和な地球にある日突然大災害(地軸が90度傾いたり、氷河期がきたりというとんでもないもの)が起こりました。人類は滅びる寸前でしたが、後に特権階級となる日本の衛星軌道上に『都合良く』逃げていた人々が技術等を守っていたり、人工食物が『たまたま』日本で開発されたりしたので何とか生き延びることができました。また、この二つのことを日本が成し遂げたので日本はこの世界で大きく繁栄しています。
 しかし日本はただ一つの貿易都市のみを開いて、現在外からはどうなっているかわからない状況になっております。例えば、許可なく入ろうとした人は射殺されたり、望遠鏡でのぞいたり衛星写真を撮っても黒く塗りつぶされています。そしてその日本でただ一つ開かれている都市がPC達の活躍するトーキョーN◎VAです。

 N◎VAは世界一栄えている都市なのでいろんな人が集まっています。サラリーマンやら技術者やらマフィアやら…。外国からの移民もたくさんいます。
 政府がまともに機能していない状態で、ほぼ企業が世界を牛耳っています。そういった中でN◎VAは世界最大の貿易都市としての輝かしい部分もありますが、裏ではマフィアが蠢きテロリストが潜伏し、密かに暗殺者がいたり、殺人が起こっても放っておかれるスラム街があったり、そういう薄暗い部分もあります。
 PC達はこの街に住む様々な人になって、それぞれの事情からN◎VAに起こった事件を解決していくことになります。

さて、この世界は科学技術とネットワークが発達した世界です。
科学技術の発達は、例えば先に説明した如く、氷河期に入って天然の食料がほぼ取れなくなってしまったので、人々は人工的に培養された素材を使った食物を食べていることなどが挙げられます。それから体の一部を機械と入れ替えたりして、腕に刃物を仕込んだり視力を良くしたりできます。あと神経に作用して精神に影響を与える機器なんかもありますね。
 ネットワークの発達っていうのは、ありとあらゆるものがネットに接続される状況だということです。人間の体にもネットとつながるIANUSという電子機器が埋め込まれています。(ごく稀にのっぴきならない事情でつけてない人もいたりするんですが)これは身分証明書とキャッシュカードを合わせたようなもので、例えばお店で支払いするときに電子マネーみたいにお店の端末に手をかざすことにより自分の銀行口座からお金が引き落とされます。また、携帯とか車を動かすのにもIANUSを通してネットワーク上から行わなくてはいけません。

<スタイル>
 N◎VAのPCは21個の「スタイル」を3つ組み合わせて作ります。スタイルとは能力、職業、立場、性質、生き様などを表すものです。例えば「カタナ」というスタイルは近接武器の扱いに長け、殺し屋などの荒事に関わる職業を表します。また、「フェイト」というスタイルは探偵などの真実を求める性質を表し、能力も調査のためのものが多いです。
 さらに決定した3つのスタイルに対して「ペルソナ」「キー」「シャドウ」を決めることによってPCに深みがまします。

ペルソナ…外から見て分かるスタイル。職業など。例:警官、マフィア、サラリーマン、報道者、アイドル、など
キー…自分で自覚しているスタイル。生き様、仕事のやり方、得意分野など。例:銃器の扱いに長ける、ハッカー、情報操作できる、魔法が使える(!)、など
シャドウ…ペルソナとキーと同じスタイルならばそのスタイルがより強調される。違う能力ならばちょっとした方向付け、フレーバーなど。

こうったキャラクターメイキングにより個性的なキャラクターが作れるのがN◎VAの魅力の一つであると思います。

<神業>
 上記の「スタイル」にはそれぞれ「神業」という1シナリオにつき1回使える必殺技のようなものがあります。3つスタイルをもつPC(と一部のNPC)ならば3回神業が使えるわけです。神業は神業以外の判定などでは区対応できず、かつ基本的にいつでも発動させることができます。
 神業には(例え何キロ離れたビルからでも)射撃で相手を仕留めるもの(例え完全に拘束されていたとしても)自分や他人のダメージを防ぐことができるものといった戦闘用のものから、(暴かれてしまった秘密でも)情報を偽装できるもの(どんな妨害があったとしても)世間に事実を報道するといった社会的なもの、はたまた(GMが止めない限りなんでも)他人にワガママを聞いてもらえる(崩壊していく建物の中から使うと格好いい)どんな状況でも脱出することができるなどの少し特殊なものもあります。
 それぞれのスタイル独特の神業によってスタイルらしい「見せ場」を容易に作ることができます。神業の名前と効果を言うだけでなく格好良く演出したいものですね。

<まとめ>
 N◎VAでは個性的なキャラクターと神業による演出によって映画のヒーローような格好いい、すこしだけキザなロールプレイが推奨されます。
 PC達の目的は特定されておらず、それぞれの立場で自分のスタイルを貫きながら事件を解決していきます。しかし自分のスタイルを貫くといってもそれらが他のスタイルと衝突したり、それが本当に主人公の、ヒーローのすることなのだろうか、という場面も多数あります。トーキョーN◎VAはこのようなことに考えさせられつつ貴方にとってのナイスな演出をしていくシステムなのです。

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