レポート No.6

東方弾幕遊戯 -flowers-

製作 D-vent
出版形態 同人
ジャンル なんちゃって和風ファンタジーRPG

はじめに 〜少女祈祷中〜

東方弾幕遊戯-flowers-(とうほうたまあそび ふらわぁず)は、「東方シリーズ」と呼ばれる一連の同人弾幕シューティングゲームをもとにした同人TRPGシステムである。 ジャンルとしてはなんちゃって和風ファンタジーとでもいうところだろうか。 PC達は「幻想郷」と呼ばれる世界の住人となり、幻想郷で起こる様々な異変を解決したりすることとなる。 これから、このシステムについて詳しく紹介していきたいと思う。

世界観 〜幻想郷〜

舞台となるのは「幻想郷」と呼ばれる世界。遥か昔に結界によって現世から切り離された世界である。 この世界には人間も住んでいるが、それ以上に様々な妖怪や妖精たちが暮らしており、近頃では神や悪魔、吸血鬼のような魔族や幽霊なども増えてきている。 かつては人間が妖怪に食われるということもよく見られたようであるが、最近はそのようなこともほとんどなくなり、概ね平和に共存している(妖怪と人間が一緒に花見をして酒盛りをするという光景も珍しくはなくなった)。 しかし、時折一部の住人によりちょっとした(時にとんでもない)異変が起こることもある(春が来ない、夜が明けないなど)。 それでも、基本的には常にのほほんとした雰囲気が漂っており、殺伐とした雰囲気とは基本的に無縁である。 幻想郷とはそういう世界である。たぶん。

キャラクター 〜八種の花と五種の種〜

幻想郷の住人であるPCたちは、八種類の華札と五種類の種札の組み合わせによって表現される。 華札はいわゆるメインスタイルであり、その名の通り花の名前(薔薇、桃、百合、牡丹、向日葵、白詰草、文目、勿忘草)で表わされ、花ごとに基本能力値、通常攻撃範囲、固有スキルが設定されている。 種札はいわゆるサブスタイルであり、キャラクターの種族である。人間、妖怪、妖精、魔族、幽霊の五種類があり、それぞれに基本能力値、固有スキルが設定されている。 正直なところ華札の間にはかなりの性能差があるが、結局どれを選んでも工夫次第でその性能差を補うことができるようになっているように思う。

スペルカード 〜狂いに狂いきった弾幕〜

スペルカードとは、要するに必殺技、切り札である。原作シリーズでは非常に美しい弾幕として表現される。 このスペルカードをかなり好きなように自作できるのがこのシステムの売りの一つであると私は思う。 スペルカードには攻撃、防御、支援、特殊の四種類があり、攻撃と防御はそれぞれ通常攻撃と回避を強化し、支援は味方の強化や敵の弱体化、特殊は高速移動や回復などの効果を持つ。 作成時に達成値上昇量やダイスの増加数、対象数の増加などを自分で設定することができるが、それらの性能を高めるとそれだけコストがかかり、実際に使う際にそのコストと同じだけのテンションを支払わなければならない。 つまり、高性能にすればするほど使いにくくなるのである(ある意味当然ではあると思うが)。 逆に、特定の能力(ダイスを増やすなど)に特化させて他の能力を抑えればコストをある程度抑えることも可能である。 一発に賭けるか、コストパフォーマンスを取るか。そんなことを考えながらスペルカードを作るのは非常に楽しく、作ったスペルカードを思い通りに使うことができれば喜びもひとしおである。

システム 〜弾幕遊戯〜

基本的な判定のシステムは2D6+能力値+スキルである。スキルなどの効果によりダイスが増えていた場合、最も大きい出目2つを選ぶ。 ここまでは比較的シンプルである。しかしここからが少し変わっている。 まずはクリティカルは6の目が2つ以上あったときであり、自動成功ではなく、達成値とは別にテンションを10点獲得するということである。 これはスペルカードの使い方にも大きくかかわってくるところだろう。 次に、組み合わせるスキルにより、達成値を増減させることができるということである。 「増やすのはともかくなぜ減らす必要があるのか?」と疑問に思われる方も多いだろう。 実はこのシステムでは、全ての判定時にテンションを獲得することができるが、目標値に近いほど多くのテンションを獲得することができるのである。 に、攻撃判定では回避判定との達成値の差分値がダメージとなるため高い方が良いが、回避する側としては同値であればダメージは入らず、テンションも多く獲得できることになるのである。 なので、この場合、回避判定の達成値が相手の攻撃判定の達成値を上回った場合、スキルを使って自分の達成値を減らし、同値に近づけるということも重要になってくる。 これらのやりとりも非常に戦略的で面白いものとなっている。

まとめ 〜貴方も幻想の世界へ〜

以上がこのシステムの大まかな説明である。 私の文章力不足もあり、おそらくはこのシステムの魅力を完全に伝えきれてはいないことと思う。 なので、もしこのレビューを読んでこのシステムに興味を持った方がいれば、一度遊んでみることをお勧めする。百聞は一見にしかず、である。 また、原作を知らないので楽しめるかどうかわからないという人もいることだろう。 確かにこのシステムの原作となっている東方シリーズは非常にファンも多く、そういった人たちと原作を知らない人が同時に卓に入った場合は少なからず温度差が生じることもあるだろうと思う。 これは原作つきのシステムではある程度は避けられないことなのではないかとも思う。 しかし、少なくとも私は、このシステムは原作を知らなくても遊べるシステムであると思っている。 今後も機会があれば立てていきたいと思う。

−貴方も、幻想郷へ足を踏み入れてみませんか?−
(2009年02月23日/クニヒコ)
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